ADSLは提供エリアが広く、以前と比べると速度も安定するようになってきたため、コストパフォーマンスの良いインターネット接続手段として再評価されています。
ただ、絶対的な回線速度は光回線などと比較すると低くなります。
そのため、コスト面は満足していてADSLを使い続けたいんだけど、速度が遅すぎるから光回線に変えようか考えているという方も多いかと思います。
でも大丈夫!ちょっとした工夫が必要ですが、ADSLを使いながら速度向上させることは可能です。
今回は、ADSL回線をより快適に使うために役立つ、速度改善テクニックを紹介していきます。
この記事のもくじ
■自宅から収容局までの「改善」は困難
ADSL回線はノイズに弱く、加入者宅から収容局までの距離が一定以上になると、急激な速度低下が起こるという特徴があります。
そのため、接続速度について最も大きな影響を与えるのは、収容局までの距離とそこまでの配線状況ということになります。
これは加入者の方でコントロールすることは原則できません。
ただし、導入後に接続速度があまりにも遅い場合には、業者に連絡して状況改善を申し入れることが可能です。
通信速度が常時1Mbps以下になってしまうような場合は、「ADSLはこんなものだ」とあきらめずに、プロバイダのサポートセンターに連絡してみましょう。
■ISDN回線の有無で大幅に変わる
ADSLはISDNとの相性が非常に悪く、近くにISDN回線があるとそのノイズの影響を受けて通信速度が低下してしまいます。
そのため、ISDN回線を導入している一般ユーザー宅に、ADSLを導入することはできないとされてきました。
また、それでもどうしてもADSLを導入したい場合には、ISDNを一旦通常のアナログ回線に戻し、その上でADSLに加入するという手順を踏まなければなりませんでした。
しかし、現在では一般ユーザー向けとしてはISDNはほとんど使われていないため「集合住宅などでも隣の家がISDN加入でADSLの速度が低下してしまう」ということは考えなくても良いようになりました。
ただし、現在でもコンビニエンスストアなどではISDN回線が利用されているので、家のすぐ前にコンビニがある場合にはISDNとの相性の悪さが問題になる可能性があります。
このような場合でも、速度低下が著しい場合はプロバイダのサポートを受けることができるため、我慢せずにサポートセンターに連絡をしてみましょう。
■モデム以降の速度低下を防ぐ
加入者宅から収容局までの改善に関しては、ユーザーが直接何かすることは困難です。
そのため、ADSLを快適に使うためには、加入者宅内で速度低下をできるだけ防ぐということが重要になります。
加入者宅内のネットワークの改善は、ADSLだけでなく他のどの回線を利用している場合でも有効になるため、近いうちにADSLから他のサービスに乗り換えることを検討している方も確認してみてください。
・無線ルーターをチェック!
加入者宅内に無線LANが構築されている場合には、まずこちらのチェックから始めましょう。
最初に確認するべきなのは、無線LANで使用されている通信規格がどういうものなのかということです。
通信規格が「802.11g」というものであったら、注意が必要です。
「802.11g」は旧世代のWi-Fi規格で、最大通信速度は11Mbpsとなっています。
つまり、12MbpsのADSL回線よりも理論的上限値が低いのです。
「802.11g」はとても古い規格のため、現在はこれのみをサポートしているWi-Fi機器はまずありません(新しい機器でも802.11g機器との接続は可能です)。
新しい無線ルータを買えば、最低でも54Mbps以上で通信できるようになるのですが、
ADSLの場合、10年以上前にプロバイダが持ち込んだ無線機能付きADSLモデムをそのまま使っているというケースが比較的多く見受けられます。
10年以上無線機能付きADSLモデムを使っているという場合には、無線機能だけでも更新してみましょう。
方法は、ADSLモデム内蔵の無線機能をオフにし、ADSLモデムに新規購入した無線ルータを接続し、そちらの無線機能を有効にすれば速度を向上させることができます。
・ケーブルの状況をチェック!
有線接続の場合、重要なのはケーブルの状態です。
現在市販されている有線LAN用のケーブル(イーサネットケーブル)は、最低でも100Mbpsでの通信が可能になっています。
何も考えないで一番値段の安いものを購入してもADSL接続用には十分なのです。
ただし、100Mbpsでの通信が可能なのは、あくまでケーブルが完調であった場合に限られます。
ケーブルの被膜が破れて中身が露出しているような場合は、通信速度は当然ですが低下します。
家庭内LANの場合、扉を超えて配線することもあり、長年使っているとこのような場所で皮膜破れが発生する可能性が高まります。
破れを見つけたら、すぐにケーブルを交換するようにしましょう。
また、長いケーブルをとぐろを巻かせるようにして配線している場合も、速度的な不安の原因になります。
LANケーブルの長さは、必要最小限の長さ+ある程度の余裕分程度にしつつ、定期的にケーブルの被膜に破れがないかチェックするようにしましょう。
・ハブもチェックする!
家庭内のネットワークを構築するための機器には、ルータ・無線アクセスポイント・ハブなどがあります。
実はプロバイダから送られてくる「ADSLモデム」は、本来のADSLモデム機能に加え、ルータ機能やハブ機能を追加したものです。
さらに多くの場合、無線アクセスポイント機能も内蔵されています。
市販の機器の場合でも、無線アクセスポイントはルータと統合され「無線ルータ」として売られています。
ハブは、LANケーブルを直接抜き差しするコネクタが複数ある機器です。家庭内LANで使用する端末が増えた場合、コネクタを増設するために使います。
古いADSLモデムの場合、LAN側端子が一つしかないことがあり、この場合複数機器を接続するには無線化するか、ハブを間に介する必要がありました。
このハブにも、最大速度が10Mbps止まりのものと、100Mbpsまで可能なものがあります。
無線ルータやネットワークケーブル同様、ハブも現在購入すれば100Mbps以上に対応したものとなります。
10年以上機器更新をしないで使い続けていた場合、ハブがネットワーク全体の速度のネックになることもありますので、しっかりチェックしましょう。
・端末側に問題はないか
最後に、ネットワークの末端に配置される端末(パソコンやスマホ)です。
処理能力が低かったり、低速な通信モードを使用するように設定されていた場合、当然ですが「速度低下」と同じような現象が発生します。
とはいえ、パソコンを端末としていた場合、端末側の処理速度が不足して遅くなるという可能性は高くありません。
問題になりやすいのは、旧式のスマホやタブレットを接続していた場合です。
スマホやタブレットの技術革新の速度はパソコンより速く、5年程度前の製品にもなるとすっかり陳腐化してしまい何をするにも速度が遅く感じるようになります。
この場合、通信回線は何を使っていても同じ状況になってしまうため、通信回線側の改善をする前にまず端末を買い換える必要があります。
■まとめ
ADSLを新規に導入するユーザーの場合、家庭内のネットワーク機器が新世代の規格に対応しているため、業者からADSLモデムを受け取っただけで十分その速度を活かせる環境を作ることができます。
ただし、古くからADSLを使い続けてきた場合、モデム以外のさまざまな部分が旧式化していて、それが速度低下の原因になっていることが多く見受けられます。
ずっとADSLを使い続けていて、コストパフォーマンスが良いから変えたくない!けど、速度面に対して不満があるという場合は、家庭内ネットワーク環境の見直しをしてみるとよいでしょう。
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