インターネット回線を申し込む際、料金の案内や工事、回線速度などの案内を受けることになります。
そのときに100Mタイプや200Mタイプ、1Gタイプなどと回線速度に応じたコースを選ぶ流れになることでしょう。
このとき、100Mタイプは「通信速度は100Mもあるのか」と思ってしまいがちです。実際、私がお客様にご案内するときもそのように思われた方がとても多かったです。
若い方は承知の方が多かったのですが、特に一家のお父さん方はそういう認識の方も少なくありませんでした。
これは100Mも速度が出るという認識を与えてしまっている回線事業者側にも問題があるのかもしれません。
実際のところはどうなのかというと、100Mコースだからと言って100Mも出ないのが結論となります。
この記事のもくじ
【基本的にはベストエフォート型】
インターネット回線で掲示されている速度、たとえば100Mコースの「100M」という通信速度は基本的にベストエフォート型です。
このベストエフォートというのは「100M出すために最大限の努力はします」という意味が込められており、「絶対に100Mの通信速度を保障します」という意味ではありません。
100Mコースで事実上はそのような速度を出すのは不可能だと思っても差し支え有りません。
あくまで理論値となります。
【回線は占有型ではなく、共有型】
基本的に一般家庭が用いているインターネット回線は他の家庭と共有するタイプです。
どういうことなのかイメージが沸きにくいかもしれませんが、銭湯のお湯みたいなものでみんなで使用するタイプのことです。
一つの回線を他のご家庭と分け合って使用しています。
NTTや某電力系など、どこのインターネット回線事業者もこのシステムを採用されており、業界に身を置く方々にとっては全員把握している知識です。
共有しているということはつまり、他の方が使用するとこちらの回線速度にも影響する可能性があるということです。
さすがに一つの回線で200戸や300戸も共有するというわけではありませんが、最大で32戸と回線を共有します。もちろん周囲のネット回線の契約者によって増減します。
共有している世帯がどのくらいになるのかは案内側もお客様も分かりません。
これにより、実際にどのくらいのネット回線の速度が出るかがより不鮮明となっている側面があります。
周囲に同じネット事業者を使用しているユーザーが少なければ、通信速度は速くなるかもしれませんし、多ければ遅くなるかもしれません。
また、同じ回線事業者を使用している方が多くてもライトな回線の使い方をしている場合も考えられますし、全然ネットに繋がない方もいらっしゃるかと思われます。その場合はこの限りでは有りません。
このように複雑な要因で通信速度が前後するため、「100Mでないのなら、どれくらいの速度が実際に出るのか」と尋ねられても明確に答えることは難しいという裏事情があります。
個人的な経験則として、「私の場合はこれくらいの速度が出ていました。他のお客様はこれくらい出ていたようですよ」などと伝える範囲に収めています。
(100Mコースの場合、私は20M~60Mくらいの間と答えることが多かったです)
これにより、回線速度は地域に依存するケースがあります。
【時間帯によっても速度は変化】
一般的に共有している方々たちは晩にネットを使用することが多いので、夜に速度が不安定になる場合があります。
また、プロバイダ側も混雑していることが多いため、顕著に遅くなることがあります。
【占有型回線だと100M出るのか】
残念ながら占有型の100Mコースでも、通信速度を100M出し続けるのは難しいです。
そもそも占有型回線は現在一般家庭向けでは積極的に展開されていないサービスです。
その昔、東京電力がTEPCOひかりという占有型回線のサービスを格安で提供していましたが、経費がかかって事業撤退に追い込まれた経緯があります。
業務用としてはありますが、料金もその分割高になります。特に理由がない限りは占有型回線を使う必要は全くありません。
【家庭内設備でもインターネット速度は前後する】
家の環境でもインターネット速度は大きく変化する場合があります。例えば、LANケーブルや無線LANルーターの種類、その接続方法などでも通信速度は前後します。
LANケーブルにはいくつかカテゴリー(規格)が有り、それにより速度・帯域などが変わってきます。
カテゴリー7、カテゴリー6A、カテゴリー6、カテゴリー5e、カテゴリー5の順番で、数字が大きいものが最新のものとなり、高性能となります。
できるだけ接続した回線を生かしたいというのであれば、カテゴリー7のLANケーブルを選ぶといいでしょう。
また、無線LANルーターも古いタイプだと速度が落ちますので注意が必要です。
【パソコンの性能やソフトでも通信速度は大きく変化】
古いタイプのパソコンと最新のハイスペックパソコンでも、回線速度は大きく変化します。どれだけ回線速度が速くても、古いタイプのパソコンだと信号を処理しきれません。
そういった場合は大きく速度が落ちます。イメージとしてはガソリンがたくさん入っているのに自動車が旧式で遅いという感じでしょうか。
実際に、私も旧型と最新型のパソコンで比較して回線スピードテストを行いましたが、倍以上の数字の差が出たことがあります。
もちろん体感的にもはっきりと違いが出ます。これはあまり知っている方は少なかったと思います。
中には旧式パソコンによる遅さをネット回線の遅さだと混同視されているお客様もとても多く見受けられました。
こちらもご年配の方が多かったです。回線の速度が速くなればパソコンの処理の遅さを改善することが出来ると誤解されている方が目立ちました。
また、セキュリティソフトを入れるだけでも通信速度が変化する場合もあり、ほんの些細なことで増減します。
【ネット回線の速度はやはり実際に繋がるまでは分かりません】
以上の理由をもちまして、やはり実際にインターネットを接続してみないと、速度を測るまではどのくらいの回線速度が出るのかは分かりません。
しかし、たとえ20Mの速度でも100Mと体感的な違いが得られる方は極小数となります。あまり気にする必要はないようにも思えます。
また、私の周囲では「遅い」と言う方はパソコンの性能から疑ってみると、解決することが多かったです。
ルーターやケーブル、パソコンなど、違う部分からアプローチすると回線速度が改善する可能性があります。
インターネット回線比較相談所編集部
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