この記事のもくじ
回線速度1Gbpsってどれくらい速いの?
・1Gbpsのプランで契約をしても、実際に使える速度はそれ以下になる
20Mbmp以上があれば動画もあまり速度を気にせず見られるということを考えると、実際に1ギガも速度があれば、仕事やネットサーフィンをする上で信じられないほど快適にインターネット生活が送れるでしょう。
ただし、インターネットの速度は全てベストエフォート型(最大限の努力をする)という方式をとっているので1Gbpsのサービスに申し込んだとしても、回線速度MAXの1Gbpsが使える訳ではありません。
それでは実際の1Gbpsの通信速度はどのくらいなのかと言うと、実はインターネットで実際に使える速度と言うのは使ってみるまでは誰にも分からないのです。
たとえ近所で同じ回線を契約している家の回線速度が早かったとしても、実際に開通するまで速度がどのくらい出るのかは全く未知数です。
「100メガでも全く支障が無い」と言う人も居ますが、そういう場合は同じ回線を共有している人が少なかったり、ネット回線を多く使う人がいなかったりといった好条件が重なっているケースがほとんどです。
仮に、実際に1Gbpsの速度をサービス会社が保証するとしたらおそらく月額料金が数百万円単位まで上がってしまいます。
ベストエフォート型で妥協しなくてはいけない現状があるからこそネット回線は安く使えています。
・高速回線対応のネットワーク機器を使っていないと回線速度を十分に活用できない
また、LANケーブル、ルーター、ハブ、パソコンも高速回線に対応した規格のものを使っていないと速度が上がらず、高めの料金プランを払う意味がなくなってしまいます。
ここは知らない人も多いので要注意です。こちらは後ほど詳しく説明します。
数値で見る1Gbpsの速さと基礎知識
わたしたちはコンピュータで利用されるデータのサイズを表現する単位として「GB」(ギガバイト)をよく使います。
「1Gbps」だと、なんとなく「1ギガバイト」がイメージされるので、このサイズを1秒ぐらいでびゅーんと送ってくれるんじゃないか、そんな風に感じられますよね。
しかし、それは間違いです。「1Gbps」は「1ギガビットパーセカンド」と読みます。「1GB」のギガバイトとは、読み方からして違っていますね。
1ビットというのは、コンピュータでの情報処理の最小単位となる、1桁の2進数を意味します。
単純に言うと、コンピュータ内部には無数の豆電球のようなものがあり、電気がついた状態を「1」、ついていない状態を「0」として情報処理を行っているのです。
bpsの「ps」はパーセカンド、つまり1秒あたりという意味なので、「1Gbps」は、1秒あたり1ギガビットの情報を転送できる速度ということになります。
1Mbpsの通信速度というのは、文庫本一冊分の文字を3秒ちょっとで転送しきれる速度です。1ギガビットは1024メガビットです。
つまり1Gbpsというのは、文庫本327冊ちょっと分のテキストを、1秒で転送できる速度ということになります。
文字だとこのように凄まじい量を一瞬で転送できる速度ですが、画像データになるとちょっと苦戦することになります。
パソコンで表示される「絵」は点描画で、それぞれの点一つあたりに3原色の色の深さが設定されます。
画像ファイルのサイズは、基本的には「画像データの縦横のドット数×1ドットの表示に使われているビット数」になります。
3原色をそれぞれ8ビットで表現した場合、1ドットの表示に使われる情報量は24ビットになります。つまり、画像ファイルの縦のドット数×横のドット数×24が、そのファイルのサイズということになります。
640×480ドットの絵だと、サイズは約7メガビットです。
1Gbpsの転送速度があっても、1秒間に転送可能な絵の枚数は、146枚に過ぎません。文字と比べると、かなり少なくなっていることがわかると思います。
実際には、パソコン上の画像データはファイルサイズが大きくなりすぎるため、圧縮した状態で管理されています。ですから、1Gbpsで転送可能な画像の数はもっと増えます。
・ダウンロード時間で比較
1Gbpsの回線は、論理的には上で計算したようなパフォーマンスを発揮するはずですが、実際にはそこまでの速度が出ることはありません。
1Gbpsでの転送を許容しているのは、あくまでもインターネット接続に使われている光ファイバー回線だけであり、他のすべてがその速度に追随できるようになっているとは限らないからです。
パソコンの内部で比較すると、1Gbpsという速度は、シリアルATAと呼ばれる現行のハードディスクインターフェイスの最初期のバージョンの実効速度に近いものとなります。
つまりそれ以前の世代のハードディスク(パラレルATA)だと、ハードディスクへの書き込み速度がネックとなって、インターネット回線のパフォーマンスを最大限発揮できない、というものすごい話になってしまったのです。
ハードディスクのインターフェイスの転送性能よりもインターネットへの接続回線の方が早いと、パソコンはディスクにデータが書き込まれるまで転送を待つようになってしまいます。
ダウンロードというのは、ネット上に存在するファイルを、自分のハードディスクにコピーする行為なので、ハードディスクインターフェイスの速度がダウンロード時間を決定する要因になってしまい、回線速度はあまり関係なくなるのです。
これは極端な例ですが、1Gbpsは基本的に最新鋭の周辺機器で固めたハイスペックなパソコンでなければすべてを受け止められない、そんな超速度なのだということは理解しておいてください。
・相手サーバーの性能にもよる
ネットワークにおける通信には、相手が必要です。インターネットの場合、相手もコンピュータであり、その処理速度が十分でなければ回線のカタログ値通りの速度は出ません。
しかもネットワーク上のサーバコンピュータは、よほど閑散としたWebページでもない限り、常に複数のクライアントからのリクエストを受け、データを転送することになります。
最先端のシリアルATAの転送速度は6Gbpsです。
これを複数台で共有することになるので、たとえネットワーク側が1Gbpsの回線で接続されていたとしても、ハードディスクのインターフェイスの限界の方が先に来ます。
ハードディスク以外のところにもかなりの負荷がかかるので、今後凄まじいばかりの技術革新が行われ、現在のものとは比較にならないほどのスーパーサーバーが登場しない限り(そして、サーバーレンタル業者がそれを買わない限り)、1Gbpsの転送速度は宝の持ち腐れになる可能性があるということになります。
・自分だけが早いと恩恵は少ない
インターネットでの通信に関係するのは、クライアントとサーバーの処理性能だけではありません。
インターネットの中継に使われるスイッチ類、ルーター、ハブなどすべての機器に、高速性能が求められるのです。
しかも、この性能要求は、データを受信する側よりも発信する側において、レベルの高いものとなります。
1Gbpsの速度を活かしきるには、これらすべてが高速通信に対応するまで待たなければなりません。
1Gbpsの回線で速度を上げるなら高速通信対応のネットワーク機器が必須
・使用機器が対応していないと無意味
先に、パソコンやネットワークだけでなく途中にあるネットワーク機器も高速通信に対応していないと無意味、と書きましたが、これはサーバー側だけでなく、クライアント側にも言えます。
ネットワークケーブルや、接続を仲介するルーター、ハブを使っている場合はハブも、高速通信対応である必要があるのです。
・LANケーブルの規格
LANケーブルは、外見上はどれを見ても同じに見えますが、いくつかの段階にクラス分けされており、それぞれ通信速度の上限が異なっています。
現在、電器店で最も安く購入することができるLANケーブルは「カテゴリ5」と呼ばれる規格のものです。これは100Mbpsまでの通信にしか対応していません。
ちょっとお高い「カテゴリ5e」「カテゴリ6」だと、1Gbpsの通信に対応しています。最上位の「カテゴリ7」だと10Gbpsです。1Gbpsの回線を利用する場合は、LANケーブルも「カテゴリ5e」以上にしておきましょう。
・ルーターの性能
異なるネットワークの接続に使われるルーターは、一種のパソコンです。モニタやキーボードを接続することはできませんが、CPUもメモリもデータを保存するハードディスクに相当するものも搭載されています。
パソコンですから、これらの一部の処理性能が十分でないと、1Gbpsの通信には耐えられないというのは、容易にお分かりでしょう。
少なくとも、購入後5年以上が経過しているルーターは、高速通信に対応しているとは考えにくいので、新しいものに交換しておくことをお勧めします。
・無線接続
なお、ルーターの中には、無線LANでの接続に対応したものがあります。今までは無線通信で1Gbpsに対応した方式はありませんでした。
そのため無線を使った段階でまず絶対に1Gbpsは出ず、高速通信を堪能したいなら、有線接続に限定する必要があありました。
次世代高速Wi-Fi規格の「11ac」ならケーブルの配線都合に制限されることもなく、家中で高速通信が可能となりました。
画像引用:http://buffalo.jp/products/catalog/network/11ac/concept.html
・ハブの性能
ハブは、複数のコンピュータを一つのネットワークに結合させるために使う機器です。ルーターには標準で4ポート程度のハブが内蔵されていることがあります。
このハブにも、100Base-TXや1000Base-Tなどといった規格があります。
カンのいい方はすでにおわかりかと思いますが、100Base-TXは最高100Mbpsまでの通信に対応し、100Base-Tが1Gbpsでの通信に対応しています。
1Gbps回線の威力を発揮させたいという場合は、当然「1000Base-T」を選ばなければなりません。
以上、1Gbpsのネット回線プランを選ぶ際に知っておきたい基礎知識です。速度アップのご参考になれば幸いです。
GEAR
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